ITエンジニアのキャリア開発のヒント

6「仕事の目的を考える」

こんにちは。株式会社オイコスの小田美奈子です。

前号(5「求められている役割を考える」)に引き続き、
株式会社永和システムマネジメントでサービスプロバイディング事業部担当
部長を務めている岡島幸男さんに、 キャリア形成のお話や、身につけておい
たほうがよいスキルについてお話を伺いました。

<岡島 幸男氏(Yukio Okajima)プロフィール>

株式会社永和システムマネジメント 事業本部サービスプロバイディング事業
部 担当部長
1971年福井県生まれ。同志社大学経済学部卒業後、株式会社 永和システムマ
ネジメントに入社。自社製品の企画・開発や、Webシステムの受託開発を中心
にキャリアを積み、2003年より、サービスプロバイディング事業部にて主にソ
フトウェア開発の現場リーダーを行う。最近は、複数のプロジェクトチームの
マネジメントも行う部長という肩書きも増え、福井と東京を往復する日々を過
ごしている。趣味はクワガタのブリード。愛読書は新渡戸稲造の『武士道』

著書
『プロジェクトを成功させる現場リーダーの技術』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4797333502/tecmor-22

『受託開発の極意―変化はあなたから始まる。現場から学ぶ実践手法』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4774134538/tecmor-22

ブログ「TECH-moratorium:テクモラトリアム」
http://d.hatena.ne.jp/HappymanOkajima/

株式会社 永和システムマネジメント
http://www.esm.co.jp/

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Q. これまでのキャリアを築く上で役に立った体験がありましたら、教えてく
ださい。

【8〜9年前、自分にとって高いスキルを求められる、大変な仕事をした経験が
あります。お客さんが大変厳しい方で、日々叱咤激励を受けていました。自分
の能力を出し切ってしまって、どうやってもよくなると思えなくなった。ソフ
トウェアの企画に近い仕事で、「なぜそれを作るのか」「作るものの売りはな
にか」を実感させられました。

ここで学んだことは、仕事の目的、何でそれをやっているのか、意外とわから
ずやってしまう人が多いことです。この時に突き詰めて考えさせられました。
メンバーともよく話すのですが、「人生、適切な時期に適切な苦労をする」と
思っていて、運よく、ちょうどそういうものが巡ってきました。

その次の仕事では、企画とマネジメント能力の両方を求められ、お客さまでま
さに当てはまる人との出会いがありました。その方から学んだことは、マネー
ジャーとして、プロジェクトの責任の負い方、腹のくくり方です。

たとえば、人との接し方や、成果を出すためにやっていることを色々と真似さ
せてもらいました。例えば、下請けとして入った時に、分け隔てなく接してく
れるのですが、その分厳しい。人を扱うとはこういうことなんだと学びました。
失敗からくる教訓が全てですね。】


Q. そこまで大変な仕事をやり続けられた原動力はどんなところにあったので
 しょうか。

【大変だった仕事の時は、今振り返れば一杯一杯の状態で、当時の写真を見る
と、げっそりとやせていて相当辛かったと思います。その時になぜ乗り越えら
れたのかと考えると、その仕事は社内の選抜メンバー4人に選ばれたという自
負心があり、それが動機付けになっていたと思います。社内でも期待されてい
る仕事だったので、期待に応えたい自分としては、ハリがありました。

全部を任せてもらい、最後は社長が責任をとってくれました。人とのつながり
が救ってくれて、そういう信頼関係の中で仕事ができれば、そんなに辛くなら
ないと思います。
ただ、こういう場を創るのは難しくて、これをうまく作っていくのが上司の仕
事だと思っています。今度は自分がそうしてあげる立場だなと。】


Q. 信頼関係のお話が出てきましたが、部下と信頼関係を作るために、どんな
ことを心がけていますか?

【最近意識しているのは、部下に任せること、自分で考えさせることです。難
しいのは、丸投げとの違い。自分でやったほうが楽だけど、最近では任せるよ
うにしています。

あとは、「みんな、どんなふうになりたいの」と聞いています。エンジニアと
してやりたい人と、管理職でやっていきたい人に分かれるので、そこに沿った
形でうまくやろうと意識しています。
いかに自分が何もせず、うまくいかせるかを目指したいと思います。】


Q. 岡島さんが、職場で楽しく過ごすために心がけていることはありますか。

【本来は、心配性でくよくよ考えるタイプですが、だからこそうまくいくこと
もあります。
最近は多少改善されてきたのは、悩んでもしょうがないと割り切れたからかも
しれません。】


Q. 最後に、岡島さん自身が身につけておいてよかったと思うスキルや、エン
ジニアに身に付けてほしいスキルを教えてください。

【エンジニアなので、技術は間違いなく必要で、とことんやるべきだと思いま
す。自分よりすごい人を見るとかなわないと思いましたが、やっている時は自
分が最高だと思い、夢中にやっていました。技術はとことん磨いたほうがいい。

ヒューマンスキルでは、今振り返ると、ロジカルシンキングはあらゆる側面で
使えます。本も読みましたが、やはり実務でないとぴんとこないことも多い。

MECE(※注1)など、実務で考える局面に追い込まれたので、身に付けました。
ただ、上司として、部下に論理で攻めることはせず、使いすぎないようにはし
ています。

あとは、ファシリテーションは、ロジカルさを補うために必要だと思います。
ロジカルシンキングだけだと、まろやかさが足りないので、両方あった方がい
い。ロジカルなところとそうでないところの両極端があると幅ができるし、自
分もそれを目指しています。】

※注1:MECE(Mutually Exclusive collectively Exhaustive)
それぞれが重複することなく、全体集合としてモレがないこと。

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★ ITエンジニアのキャリア開発のヒント—6「仕事の目的を考える」

岡島さんのキャリアストーリーを元に、キャリア開発のヒントをお伝えします。
ここでの「キャリア開発」の定義は、「仕事を中心とした人生を、総合的・体
系的に発展・成長させていくこと」とします。

岡島さんが以前体験された大変な仕事で一番学んだことは、仕事の目的、なぜ
それをやっているのかを考えることでした。これを徹底的に考えたことが、現
在の仕事でとても役に立っているそうです。
今の仕事はそもそも誰のために、何のためにやっているのかを意識しながら進
めることは大切です。仕事へ取り組む姿勢やモチベーションにも影響がありま
す。

小田の愛読書の一つ、『ハタラク誇り』(吉田典生著、幻冬舎)にこんな一節
があります。

【「働く」という言葉の語源は、「傍(はた=周りの人々)を楽にする」から
来ている、という説がある。だから、"ハタラク"なのだと。家族を、顧客を、
職場の仲間を、そして社会を、地球を、楽にする、ということだ。】

皆さんにとっての「傍」(はた)は、どんな人たちでしょうか?

目の前の仕事は何のためにやっているのか、改めて考えてみるとどんなことが
見えてくるでしょうか。
ぜひ考えてみてくださいね。

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以上2回に渡って、岡島幸男さんのインタビュー及び、キャリア開発のヒント
をお届けしました。
皆さんのスキルアップやキャリア開発のきっかけになれば幸いです。

お忙しい中、取材にご協力いただいた岡島さんに改めてお礼申し上げます。

株式会社オイコス メンター 小田美奈子 プロフィール
1968年生まれ。大学卒業後、食品メーカーで商品開発、情報提供サービス会社でリサーチ業務、契約社員の人事・採用業務、給与体系や就業規則の改定に携わる。1999年より化粧品メーカーのマーケティング部門にて、ユーザーへのグループインタビュー等、各種調査の企画・運営・報告業務に携わる。 2000年春、コーチングの考え方に出会い、「答えはその人の中にある」「その 人の能力や可能性を最大限に発揮するサポートをする」という考え方に魅力 を感じ、学び始める。(株式会社コーチ・トゥエンティワン及びCTIジャパン) 2003年より、特定非営利活動法人日本コーチ協会 東京チャプター(JCAT)の設立に参画し、現在は事務局幹事を務める。 2004年より株式会社日本マンパワーにてキャリアカウンセリングを学ぶ。 2005年に独立し、主に経営者・管理職を対象とした「事業計画の達成」「人材育成」をテーマとした One to oneコーチング、20~30代の会社員を対象とした「キャリア」をテーマとしたキャリアカウン セリング、コーチングやキャリアに関するセミナーや執筆を中心に活動している。