ITエンジニアのキャリア開発のヒント
4「自ら変化を起こす」
こんにちは。株式会社オイコスの小田美奈子です。
今回のコラムでは、前号(3「コミュニケーションは出会いと経験から」)に引き続き、
株式会社チェンジビジョン
代表取締役社長・平鍋健児さんがこれまでキャリアをどの
ように作ってきたか、仕事をする上で大事にされていることについてお話いただきました。
<平鍋 健児氏(Kenji Hiranabe)プロフィール>
株式会社チェンジビジョン代表取締役社長、株式会社永和システムマネジメント副社長。
1989年東京大学工学部卒業後、3次元CAD、リアルタイムシステム、UMLエディタJUDEなど
の開発を経て、オブジェクト指向技術、アジャイル型開発の実践する「見える化」コンサ
ルタント。アジャイルプロセス協議会副会長、要求開発アライアンス理事。
著書『ソフトウェア開発に役立つマインドマップ』、翻訳『アジャイルプロジェクトマネ
ジメント』、『リーンソフトウェア開発』など多数。
「ハート駆動型コミュニケーション」をモットーに、人に感動を与えられるコンサルタン
トを目指している。福井県大野市在住。お酒と映画とJazzを愛する。
株式会社チェンジビジョン
http://www.change-vision.com/
平鍋健児さんのブログ「An Agile Way」
http://blogs.itmedia.co.jp/hiranabe
■ 自ら変化を起こす
"経験"を大事にされている平鍋さんが、これまで関わった数々のプロジェクトで、特に心
に残っているのは、設計支援ツール「JUDE(Java UML Developers'Environment)」の開
発。「JUDE」ユーザーは、全世界で28万を超え、うち海外で16万と過半数を占めています。
【「JUDE」は、1997年に僕が一行目を書いています。最初は2〜3人でやっていて、2001年
に発表しました。最初は、売れるものを作るとは思っていなくて、技術だけで勝負しよう
と思っていました。技術だけでなく、会社として売ることを始めた時に、マーケティング
が得意な熊谷恒治さん(前マイクロソフト株式会社、現在は株式会社チェンジビジョン取
締役)と出会い、会社(チェンジビジョン)ができました。出会うことは大事。行動しな
いと出会わない。変わる瞬間はいつも出会いです。
まずは思いが先にあります。その思いで出会いがあった。思いを持って人に会いに行くこ
とです。自分には「JUDEを広めたい」という思いがあったので、営業もやり、自分の足り
ないところを探していきました。自分が得意ではなくても、こういうところがいいなとい
うところに、あえてなってみる。自分と反対側のことをやってみる。自分が必要とする変
化に、自分でなるために。大きな目的を考えた時に、一番必要なことをやるべきです。】
平鍋さんの好きな言葉は、ガンジーの
「You must be the change you want to see in the world.」
(世界の中に変化を見たいなら、あなたがその変化になりなさい)
自ら変化を起こしたことが、出会いを生み、思いが広まるきっかけになっています。
■ QoEL(Quality of Engineering Life)の実現へ向けて
「JUDE」と共に、平鍋さんが広めている「プロジェクトファシリテーション(PF)」への
思いについて伺いました。
【今のITのプロジェクトの中には、そこにいる人がつぶれていくような現場もあります。
デスマーチと言われる、身を粉にして働いて、徹夜の連続となり、どこまでやっていいか
わからないという状態になる。頑張りすぎてしまって、折れちゃったり。そのプロジェク
トが終わって、会社を辞めたという人も見てきました。だから、そういうふうにならない
ためにも、プロジェクトファシリテーションを広めたい。ソフトウェアのプロジェクトを
うまくいかせるのと同時に、QoEL(Quality of Engineering Life=エンジニアとして過
ごす人生の時間の質)を両立させたい。
そのプロジェクトに参加してよかった、自分の人生の時間を費やす、一回しかない人生の
時間を費やす、私はこのプロジェクトに参加することを誇りに思う、というのを両立した
い。そのための手段がPFなのです。】
PFのツールとして、株式会社チェンジビジョン開発の製品「TRICHORD」(トライコード)
があります。「TRICHORD」には、「とき、こと、ひと」の3つ(TRI)が、調和する(CHO
RD)という意味があるそうです。プロジェクトの見える化を実現し、チームのコミュニ
ケーション、モチベーションを向上させていく製品です。詳細は下記URLをご覧ください。
http://www.change-vision.com/ja/products.html
■ 3Kから3Tへ
最後に、今後平鍋さんが実現したいことについて伺いました。
【これはあちこちで言っていますが、IT業界を3Kから3Tへ変えていきたいですね。
「3K」→ 「3T」
きつい → 楽しい
給料安い→ 高い給料
帰れない→ 定時で帰れる
特に、女性がどうやって仕事を続けていくのかにも興味があります。例えば、日本では、
早く帰ることで、仕事の評価が下がることがありがちです。
「JUDE」「TRICODE」で、プロジェクトをより見えるようにビジュアル化して、メンバー
の経験がもっと活きて、3Tの方向に行けるようになればと思っています。プロジェクトで
一番大事な《コミュニケーション》を実現するために。】
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★ ITエンジニアのキャリア開発のヒントVol.4「自ら変化を起こす」
平鍋さんのキャリアストーリーを元に、キャリア開発のヒントをお伝えします。
ここでの「キャリア開発」の定義は、「仕事を中心とした人生を、総合的・体系的に発
展・成長させていくこと」とします。
自ら変化を起こし、出会いを大事にしている平鍋さんのキャリアは、「プランド・ハプン
スタンス」(Planned Happenstance Theory」という考え方が当てはまります。
これは、1999年に米国スタンフォード大学のクルンボルツ教授が提唱した考え方「計画さ
れた偶然性理論」で、「偶然の出来事は人のキャリアに大きな影響を及ぼし、かつ望まし
いものである」というものです。予期せぬ出来事をキャリアの機会ととらえることができ
た時、その出来事を「プランド・ハプンスタンス」と呼んでいます。
「偶然の出来事」を「プランド・ハプンスタンス」に変えるには、次の5つのスキルが必
要です。
・好奇心:新しい学びの機会を模索せよ
・持続性:失敗に負けずに努力し続けよ
・柔軟性:姿勢や状況を変えよ
・楽観性:新しい機会は必ずやってきて、それを自分のものにすることができると考えよ
・冒険心:結果がどうなるか見えない場合でも行動を起こせ
参考:日本マンパワー「キャリアカウンセラー養成講座」テキスト
平鍋さんは、「好奇心」「冒険心」を始めとしたこれらのスキルを存分に発揮されており、
自ら行動することで変化を起こしています。ぜひ5つのスキルを意識してみてくださいね。
以上2回に渡って、平鍋健児さんのインタビュー及び「キャリア開発のヒント」をお届け
しました。皆さんのスキルアップやキャリア開発のきっかけになれば幸いです。
お忙しい中、ご協力いただいた平鍋健児さん、株式会社チェンジビジョンの皆様に改めて
お礼申し上げます。
株式会社チェンジビジョン
http://www.change-vision.com/
平鍋健児さんのブログ「An Agile Way」
http://blogs.itmedia.co.jp/hiranabe
この記事が、皆様のコミュニケーションを改めて考えるきっかけになると幸い
です。
最後までご覧いただき、ありがとうございました。
株式会社オイコス メンター 小田美奈子 プロフィール
1968年生まれ。大学卒業後、食品メーカーで商品開発、情報提供サービス会社でリサーチ業務、契約社員の人事・採用業務、給与体系や就業規則の改定に携わる。1999年より化粧品メーカーのマーケティング部門にて、ユーザーへのグループインタビュー等、各種調査の企画・運営・報告業務に携わる。 2000年春、コーチングの考え方に出会い、「答えはその人の中にある」「その 人の能力や可能性を最大限に発揮するサポートをする」という考え方に魅力 を感じ、学び始める。(株式会社コーチ・トゥエンティワン及びCTIジャパン) 2003年より、特定非営利活動法人日本コーチ協会 東京チャプター(JCAT)の設立に参画し、現在は事務局幹事を務める。 2004年より株式会社日本マンパワーにてキャリアカウンセリングを学ぶ。 2005年に独立し、主に経営者・管理職を対象とした「事業計画の達成」「人材育成」をテーマとした One to oneコーチング、20~30代の会社員を対象とした「キャリア」をテーマとしたキャリアカウン セリング、コーチングやキャリアに関するセミナーや執筆を中心に活動している。
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