ITエンジニアのキャリア開発のヒント

1「主体的に動く」

こんにちは。株式会社オイコスの小田美奈子です。

今回のコラムでは、「ITエンジニアのキャリア開発」と題して、株式会社オイ
コスのチーフメンターとして、コーチング研修や交渉力研修を担当している大
坪タカさんにお話を伺いました。

大坪さんが、SE時代に自分のキャリアをどのように作っていったか、エンジニ
アが身に付けるとよいスキルについてお話いただきました。

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【実は、自分自身キャリアを意識したことはあまりありません。入社3年目ま
では、SEとして仕事を覚えるのに精一杯でした。一人でユーザー部門と話を詰
めてなんとか一人前に仕事ができるまで3年位かかりました。

25歳の時、突然会計システムの担当になったのですが、借り方と貸し方も分か
らない、仕様書に書いてある内容が理解できないという悲惨な状況で、さすが
にこれはまずいと思い、自費で学校に通い、簿記2級の資格を取得しました。

ユーザーの業務内容が分からないと話にならないので仕方なかったのですが、
簿記がわかると会計システムでどういうことが行われているのかが分かってく
るようになり、全体像が見えてきました。全体像が見えると仕事もおもしろく
なり自信もでてきました。】(大坪さん、以下【】内同じ)

ある上司との出会いが大きな転機となった。

【会計システムの担当になったと同時に上司が変わりました。新しい上司は
マーケティング部門から来た方だったのですが、着任早々、課の全員に対して
企画書を提出するように言われたのです。それまで仕事は向こうから来るのが
当たり前で、自ら企画をするという発想そのものがなかったので、どうしてい
いかまったくわかりませんでした。

さんざん悩んで徹夜して、やっとA41枚箇条書きの'企画書もどき'を出したの
です。先輩達は10ページを超えるものを準備しており、当然、怒られるだろう
なと思っていたのです。ところが課長は「なかなかいいね」と言ってくれたの
です。そのときが自分の仕事観を変えるきっかけだったと思います。

褒められるとうれしいので、調子に乗っていろいろ提案するようになりました。
提案するとそれが実現するので(しないことも多かったですが)余計、仕事が
おもしろくなったのです。この頃から、「仕事は受け身でやっていてはしょう
がない。自分で考えて積極的に取り組んだ方が絶対に面白い」ことが分かって
きました。】

その上司からは、仕事に対する考え方を教えてもらい、仕事観が変わるきっか
けとなった。
30歳の時、もう少し色々な知識を知ることが必要だと考え、特種情報処理の資
格を取得、部内でこの資格を持っている人が数人だったこともあり、上司から
の評価は高かった。
評価はされたものの、他の仕事もやってみたくなり、異動希望を出したものの
叶わない日々が続いた。

そんな時、大学院で2年間学べる制度を知り、応募することにする。上司の推
薦もあり、20人の中から選ばれることになった。大学院では、よいシステムを
開発するにはどういう組織がよいのかという組織論について研究、派遣期間終
了後は、本社の国際事業部経営企画グループに所属された。

大学院の卒業間近に、コーチングの学習機関であるCTIジャパンを創立した榎
本英剛氏との出会いがある。榎本氏のコーチングを受けたことがきっかけとな
り、「人に使われるよりも、1人でやろう」と思い、会社を辞めることを決意
する。

2「自己投資をしよう」に続く

<大坪タカさんのプロフィール>
1964年生まれ。1987年に株式会社資生堂に入社。システムエンジニアとしてシ
ステムの企画・設計・開発から教育指導・オペレーションまで幅広く従事。慶
應義塾大学大学院政策メディア研究科への派遣留学(花田光世教授に師事し、
組織人事を専攻)を経て修士号取得。国際事業本部での経営企画業務に携わり、
その後退職。ITコンサルティング会社のスタートアップ期を経て独立。現在
は研修講師、コーチ、コンサルタント業をメインに活動している。 

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★ ITエンジニアのキャリア開発のヒント.1「主体的に動く」

大坪さんのキャリアストーリーを元に、キャリア開発のヒントをお伝えします。
ここでの「キャリア開発」の定義は、「仕事を中心とした人生を、総合的・体
系的に発展・成長させていくこと」とします。

大坪さんが上司との出会いによって気づいた「目の前の仕事に対して、主体的
に取り組む姿勢」は、大切ですよね。これはITエンジニアのみならず、どんな
職種にも共通していますね。

小田も経験がありますが、やらされ感を持ちながら働いたり、この仕事は一体
何のためにやっているのだろうと疑問を持ちながら働くと、明らかにパフォー
マンスが落ちます。
もし少しでも、そのような気持ちを感じたら、立て直しが必要です。そもそも
なぜ自分はこの仕事をやっているのか、原点に戻ってみるのは有効だと思いま
す。

「1) 誰のために、2) 何のために、3) 自分は何ができるのか?」という視点
で、今の仕事を見るといかがでしょうか?

1) 誰のために:今の仕事は、どんな人や組織に向けて行っているのか。

2) 何のために:対象となる人や組織がどんなふうになるとよいのか。
そもそも何を目的として行っているのか。

3) 自分は何ができるのか?:1),2)のために、自分はどんなことができるのか。
どんな知識や能力、経験が役に立つのか。どんなリソース(情報や人脈など持
っている資源)を使えるのか。

これらを考えた上で、もう一度現在の仕事を振り返るといかがでしょうか?
自分にできることを最大限やること、私も日々実感しています。

数年前、ある先輩に教えていただいた言葉がとても印象に残っています。

「仕事はイヤイヤやるか、楽しんでやるか、この時間に決めろ!
  決めたらその状態でやれ!」

自分がどんな姿勢で仕事に取り組んでいるか、考えさせられる言葉でした。

自分の姿勢を"決める"こと、それは何より力になるはずです。


今回の記事が皆さんにとって、何かのきっかけになると嬉しいです。
次回2「自己投資をしよう」では、大坪タカさんのキャリアストーリーの後編と
キャリア開発のヒントをお伝えします。

最後までご覧いただき、ありがとうございました。

株式会社オイコス メンター 小田美奈子 プロフィール
1968年生まれ。大学卒業後、食品メーカーで商品開発、情報提供サービス会社でリサーチ業務、契約社員の人事・採用業務、給与体系や就業規則の改定に携わる。1999年より化粧品メーカーのマーケティング部門にて、ユーザーへのグループインタビュー等、各種調査の企画・運営・報告業務に携わる。 2000年春、コーチングの考え方に出会い、「答えはその人の中にある」「その 人の能力や可能性を最大限に発揮するサポートをする」という考え方に魅力 を感じ、学び始める。(株式会社コーチ・トゥエンティワン及びCTIジャパン) 2003年より、特定非営利活動法人日本コーチ協会 東京チャプター(JCAT)の設立に参画し、現在は事務局幹事を務める。 2004年より株式会社日本マンパワーにてキャリアカウンセリングを学ぶ。 2005年に独立し、主に経営者・管理職を対象とした「事業計画の達成」「人材育成」をテーマとした One to oneコーチング、20~30代の会社員を対象とした「キャリア」をテーマとしたキャリアカウン セリング、コーチングやキャリアに関するセミナーや執筆を中心に活動している。