ITエンジニアのスキルアップ

「コミュニケーション力を上げる»Part2・・・言葉以外のメッセージ」

Part1に引き続き、「コミュニケーション」をテーマにお送りします。

◆ 成功するプロジェクトリーダー達の特徴は?

小田がこれまで取材を通じてお会いした、成功したプロジェクトのリーダーに
みられた共通点は、メンバーとのコミュニケーション量が多いことでした。
日頃からメンバーの様子をよく観察し、率先して声をかけており、この積み重
ねが信頼関係につながっていたのです。その上でメンバー一人ひとりのパフ
ォーマンスが向上する結果を生み出していました。


◆ コミュニケーションのポイントは、話すことよりも観察すること

コミュニケーションでは、相手と話をすることはもちろん大切ですが、相手の
言葉以外の情報にも注目することも大切です。
態度、姿勢、表情、仕草、視線などの「視覚情報」、声のトーン、大きさ、ス
ピード、口調などの「聴覚情報」などが普段と比べてどうなのか、そんなとこ
ろに意識を払ってみてください。

相手が話している時、どんなふうにその言葉を発しているのか、堂々と自信を
持って伝えているのか、困っている様子なのかを意識してみてくださいね。


◆ なにか違うと感じたら、それを確認してみる

そして、直感とも言われますが、いつもと何か違うと感じたら、ぜひそれを相
手に伝えてみてください。
もし相手の様子が「いつもと少し違う」など、気になることがあったら、自分
から声がけすることをおすすめします。

すぐれた判断ができるリーダーは「これからどうするか」に加えて、「今、何
が起きているのか」を知ることを大切にしているそうです。それはすなわち、
ここでいう観察力がすぐれていることになります。そして観察力を高めるとい
うことは、なんとなく感じたことを確認してみるということかもしれませんね。


ここからは小田が先日体験した事例をお伝えします。
先日、あるメーカーの技術部門の管理職を対象にしたコーチング(*1)研修が
ありました。

この研修の目的は、コーチングの練習を積むことで、職場でコーチングを実践
できるようになることです。研修2回目の時、ある男性(Aさん)が眼鏡とマス
クをして参加していました。前回(2週間前)は、両方ともしていなかったた
め、気になって声をかけてみました。

小田「Aさん、風邪をひかれたんですか?」

Aさん「えぇ、ちょっと・・・」


Aさんの返答は、少し決まりが悪そうな様子でした。"自分に話しかけないでく
れ"というような感じを受けたのです。

Aさんの様子が気になった私は、自分が感じたことも含めてAさんに話しかけて
みました。話をしていくうちに、Aさんが
「研修は自分のことを話すから、嫌いなんだよ」と強い口調でつぶやきました。

その会話をきっかけに、Aさんは自分が感じていることを少しずつ話してくれ
ました。

話をするうちに、Aさんにとって、研修でコーチングの技術を身につけること
は、“これまでの自分のやり方を変えなくてはならない”ことであり、抵抗を
感じていることが分かりました。
“自分のやり方を変えたくない”という気持ちが強かったのです。

そこで、「これまでのAさんのスタイルを変える必要はないですよ。コーチン
グという新しい引き出しをプラスすると考えてみてください」とお伝えしまし
た。

Aさんは“え、そうなの?”と言いたげな、拍子抜けしたような様子でした。

研修の最後に、コーチング研修を踏まえての今後の行動について発表する時間
があったのですが、いつのまにかAさんは眼鏡を外していました。

眼鏡とマスクは、"自分のことを話したくない。自分を守りたい"というAさん
のメッセージだったのかもしれません。

Aさんとのやりとりから、相手を観察し、それを確認することの大切さを改め
て実感しました。

今回は「言葉以外のメッセージ」というテーマでお届けしました。

この記事が、皆様のコミュニケーションを改めて考えるきっかけになると幸い
です。

最後までご覧いただき、ありがとうございました。

株式会社オイコス メンター 小田美奈子 プロフィール
1968年生まれ。大学卒業後、食品メーカーで商品開発、情報提供サービス会社でリサーチ業務、契約社員の人事・採用業務、給与体系や就業規則の改定に携わる。1999年より化粧品メーカーのマーケティング部門にて、ユーザーへのグループインタビュー等、各種調査の企画・運営・報告業務に携わる。 2000年春、コーチングの考え方に出会い、「答えはその人の中にある」「その 人の能力や可能性を最大限に発揮するサポートをする」という考え方に魅力 を感じ、学び始める。(株式会社コーチ・トゥエンティワン及びCTIジャパン) 2003年より、特定非営利活動法人日本コーチ協会 東京チャプター(JCAT)の設立に参画し、現在は事務局幹事を務める。 2004年より株式会社日本マンパワーにてキャリアカウンセリングを学ぶ。 2005年に独立し、主に経営者・管理職を対象とした「事業計画の達成」「人材育成」をテーマとした One to oneコーチング、20~30代の会社員を対象とした「キャリア」をテーマとしたキャリアカウン セリング、コーチングやキャリアに関するセミナーや執筆を中心に活動している。



*1:コーチングは、個人が持つ潜在能力や可能性を最大限に引き出す手法で、
コーチが相手に問いを投げかけることで、相手が自ら考える力を伸ばす質問型
のコミュニケーションです。日本では、自立・自律型人材を育成する手法とし
て、ここ数年注目されています。